2014年01月16日

フランドン農学校の豚

『フランドン農学校の豚』は宮沢賢治の短編小説。宮沢賢治の死の1年後である1934年に発表された。豚の視点から畜産を描いた異色の作品であり、農林学校を卒業し、農学校の教師を務めた宮沢賢治の経験が生かされている。

この物語の舞台では、家畜自身から死亡承諾書をとらなければ家畜を殺してはならないという法律が施行されており、環境倫理学的にみれば驚異的な先進社会だ。といっても未来世界を描いたわけではなく、宮沢賢治の時代とほぼ同じ文化レベルにある王国が舞台である。

このように動物の権利を認める法律が施行されたとしても、家畜に対する差別がなくなるわけではない。家畜生産者は、家畜に対して育ててやったことを恩にきせ、死亡承諾書を認めざるをえないような環境を作り出していく。

このような人と家畜との関係は、性別や人種などの差別を後押しする論理構造とほぼ同じであり、ドキッとさせられる。

人以外の生物の視点から世界を見つめ直して、視野を広げたいという方は、ぜひご一読を。

(文責:道下雄大)


【関連ページ】
青空文庫・フランドン農学校の豚
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/4601_11978.html
タグ:宮沢賢治
posted by 道下雄大 at 14:03| Comment(0) | 文学
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