2014年01月10日

カルマ

『カルマ』はBUMP OF CHICKENの楽曲であり、BUMP OF CHICKENのボーカリスト兼ギタリストの藤原基央が作詞・作曲した。2005年リリース。



この曲は哲学的に深い世界観で描かれたロールプレイングゲーム『テイルズ オブ ジ アビス(TALES OF THE ABYSS)』の主題歌として発表され、このゲームの哲学的エッセンスがみごとな形で凝縮された作品である。近年のゲーム音楽は驚異的な芸術性の高さで人を圧倒させることがあるが、これはその代表的例といえる。ゲームに興味のない人もぜひ一度は聴いて欲しい。
なお『テイルズ オブ ジ アビス』は2008年にアニメ化され、この曲はそのオープニング曲としても採用された。

カルマはサンクリット語で行為を意味するkarmanに由来する言葉であるが、やがて仏教などの教えで使用されるうちに、因果応報をもたらす行為の意味で使用されるようになった。

生物として生まれれば、必ず自分の肉体はどこかの空間を占領し、その空間を巡って他の生物との関わりあう。
だから我々は自ら死を選ばない限り、他者に対して何かの行為をなす。

他者と戦い、他者を追い出し、他の生物を死に追いやり、手が汚れていく。
その結果、数々の悲しみや憎しみ、愛情などが生じ、さらなるカルマとしての行為を導いていく。

たとえ宗教を信じていなくても、カルマは冷酷な形で我々の人生にのしかかり、生き方を左右していく。

これは人と自然との関わりあいでも同じだ。
人が集まれば、大なり小なり自然破壊という行為がなされる。
例えば、あなたが住んでいる建物は、誰かが自然を破壊してくれた行為の結果として存在する。
そしてその行為は、自己と自然の双方に何らかの結果をもたらし、自己と自然とを共に変化させていく。

カルマとはどこか遠くにある神秘的な概念では決してなく、私の体の中に濃密な感覚を刻んでは深層意識の中に沈んでいく誰にでも身近な存在だ。

なお『テイルズ オブ ジ アビス』ではしばしば予言の形でカルマが表現されるが、それはカルマの一形態にすぎない。むしろ親と子の関りあい、友人どうしの関りあい、敵どうしの憎しみあいなどがこの物語の中心となるカルマであり、それらカルマは主要人物たちの心を激しく揺さぶり、結果として血縁やレプリカ(クローン人間の意味)を乗り越える結果をもたらす。カルマ同士が激しくぶつかり合う情景こそがこの物語の哲学的本質であろう。

カルマは多くの悲しみをもたらす。
これは『カルマ』の歌詞にも歌われている通りだ。

でも真に大切なのは悲しみじゃない。

カルマは「同じ鼓動の音を目印にして」互いの存在を感じあう結果をもたらす。
その感じあう行為の中に、大切な「何か」があると『カルマ』は示唆する。

BUMP OF CHICKENは「知らなきゃいけない事はどうやら1と0の間」と歌う。

では、1と0の間にその大切な「何か」はあるのだろうか。

環境倫理学で必要とされる二項対立の克服を意味しているようにも聞こえるが・・・

この先の解釈は、人それぞれに違っている方がいいのだと思う。

(文責:道下雄大)


【関連ページ】
『カルマ』の歌詞
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND35144/index.html

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『カルマ』収録CD

posted by 道下雄大 at 18:40| Comment(0) | 音楽
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